威鶴の瞳
カランカラン
実家近くの喫茶店へと着いた。
今日は家へは帰らず、姉が働いているらしい喫茶店を指定され、そこへ来たというわけだ。
どうやら偶然『依鶴』と再会したのもこの場所らしい。
店内に入った瞬間、四人席に見慣れていた顔を見つけ、まるで引き寄せられるかの様に、その席へと向かった。
あの、家を飛び出した日以来だ。
以前よりも大人の印象が強くなった姉の姿に、鼓動が早まる。
姉が座るの席の真横に立つと、俺の方へ振り向いた。
そして――
「いづる」
そう言って、笑ってくれた。
「……ち、づる……」
「何してるの?早く座って。隣でいいでしょう?あ、レインさんもいるのね」