威鶴の瞳


色々聞いているということはきっと、人格の事を話したととらえてもいいはずだ……たぶん。



「……あ、どっちって……えーと……」



そこで俺に視線を向ける、千鶴。

……話が進んでいて自己紹介が遅れていたから、ついでに俺の事も話しておこう。



「千鶴、今の俺の人格は、BOMBでレインの下についてた、男の人格だ」

「あ、え、いーちゃんじゃなかったの?」

「あーいや、違うと言えば違うけど、違くないと言えば違くないけれど……」



難しいな。



「とりあえず、今の俺は男の人格。それと、以前千鶴に会ったのは主人格の……創られた方じゃない人格の『依鶴』。トーマの話をしたのは主人格」

「お、おう」

「で、もう一人、『依鶴』のコピーの依鶴。この人格はたぶん、もう表には出ない」

「……会えないの?」

「……たぶん」



そう言えば、少し寂しそうに笑った千鶴。

会ってくれようとしていたことは、嬉しい。

でも……その顔はさせたくはなかった。



でもそんなことを思っている暇はないんだ。

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