威鶴の瞳
「千鶴。今日は代わりにコピーの依鶴の考えも伝えに来た。俺のも。昔話をしに来たわけじゃない」
「ちょっと威鶴、そんな言い方……」
「俺が消えて、依鶴が元通り一つの人格になる協力をしてほしくて来た」
そう、今日の俺の目的は、コレだ。
俺は今日……消えるために来たと言っても過言ではない。
「……威鶴?どういうことだ?」
レインには、話していた。
俺の決意を知っていたから。
でも、トーマには話していなかった。
それに、千鶴にも……。
「……消える為の、協力……?」
「精神的な満足が『依鶴』の変化に繋がるということに気付いた。それは俺にとってはきっと、千鶴なんだ」
「でも、消える為になんて……」
「『依鶴』が元通りの、五年前と同じ状態の『依鶴』に戻る為には、これしかないんだ。俺たちは……本当は生まれてきてはいけない人格だったんだから」