威鶴の瞳

威鶴の願い



『生まれてきてはいけない』ということは、忘れてはいけないこと。

それを忘れてしまったら、自分を優先してしまったら、『依鶴』が表に出てこられなくなる。

それは……『いけないこと』だ。



例えば、平和な世界に警察はいらないように、『依鶴』が壊れずに幸せだったら、俺たちはいらなかった。

同じだ、俺たちがいることは、『依鶴』が不幸だと証明しているようなものなんだから。



だからいちゃいけない。



「協力してもらえるか?レインも、トーマも」



真剣な瞳で、真っ直ぐと三人に目を配る。

俺の決心は揺るがない。







「わかったわ」



そう一番に答えてくれたのは、レイン。



「さすが血の繋がった方の姉だな」

「あら、威鶴は妹には見えないから、長年の上司としてがいいわ」

「じゃ、さすがレインだな」
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