威鶴の瞳
「ねーちゃん」
「あら、トーマのマネかしら?」
「本当にねーちゃんだろ?離さないでくれて、嬉しかった」
──スッと、真顔になるレイン。
……そうだな、レインとはトーマよりももっと長い付き合いだった。
そして血縁者という……一番近い存在だった。
「威鶴、罪よ」
ポロリ、ポロリ、涙をこぼすレイン。
俺は……レインの涙を初めて見た。
あの強気上司のレインが……。
「女の子を泣かせたら、罪なのよ、罪!」
「女の子って年でもねーだろ」
「黙れバカトーマ!……威鶴って本当、私の弟のように接してたのよ。実際妹だけどね。……あー、もう。寂しくなるわ」
泣きながら、俺の瞳を真っ直ぐ見つめて、レインは笑う。