威鶴の瞳


「……構いませんが、何を占いますか?」

「あの、さっき彼女が居なくなっちゃって。どこに居るかわかります?」



私は一瞬、何を言われているのか、理解が出来なかった。



「……え?」

「……え?」



彼女が、居なくなった?

おそらく、ここで。

このショッピングモールの中で。



……これは……迷子という事でいいんだろうか?

それなら相応の対処法を教えてあげるべきだと、私は考えた。



「それなら迷子センターに……」

「あ、いや、放送してもらったんすけど、来ないんですよねー」



頭をかきながら、『よわったなぁ……』なんて言う男。

こういう……居場所を探す占いは、もちろん初めて。

その上リアルタイムとなると、既に占いじゃない。

というより、占いのレベルじゃダメだろう。



──といっても、私のは占いじゃない。

だからこそ、それがリアルタイムであろうが、過去であろうが未来であろうが、私は探す事が出来る。

< 55 / 500 >

この作品をシェア

pagetop