威鶴の瞳
「この依頼人の所にあなたの名前を書いてください」
震える手で、少し歪な字で『渡辺春』と書いたのを確認し、私のサインを入れた。
「これでとりあえず説明は終了です。それでは、三時間後に」
「……あ、ありがとうございます」
「いえ」
彼は席を立ち、私はその場を片付けた。
……はぁ、二日連続の依頼。
しかも今回は長引く可能性がある上に、私にしか出来ない──未来を見るという条件付き。
確実に仕事が私に回ってくる。
現在正午。
……パンを1つ食べてから眠ろう。
『本日は閉店』それを入口に張り、近くのパン屋へ向かった。
その後昼食を取り、私は事務所のソファーで少し寝かせてもらった。
──ピロリロリン♪
その小さくて高い音で目が覚めた。
メール、だ。