威鶴の瞳


「この依頼人の所にあなたの名前を書いてください」



震える手で、少し歪な字で『渡辺春』と書いたのを確認し、私のサインを入れた。



「これでとりあえず説明は終了です。それでは、三時間後に」

「……あ、ありがとうございます」

「いえ」



彼は席を立ち、私はその場を片付けた。



……はぁ、二日連続の依頼。

しかも今回は長引く可能性がある上に、私にしか出来ない──未来を見るという条件付き。

確実に仕事が私に回ってくる。



現在正午。

……パンを1つ食べてから眠ろう。



『本日は閉店』それを入口に張り、近くのパン屋へ向かった。

その後昼食を取り、私は事務所のソファーで少し寝かせてもらった。








──ピロリロリン♪

その小さくて高い音で目が覚めた。

メール、だ。

< 63 / 500 >

この作品をシェア

pagetop