威鶴の瞳
その場所にすでに渡辺春は来ていた。
必死か……いいことだ。
「あ、柴崎さん」
彼が私をすぐに見付けてくれたから、手招きをした。
そのままついて来る彼をさっきまで寝ていた部屋に通す。
「あの、柴崎さん?」
「警察、どうだった?」
「あぁ、柴崎さんのカード渡したらすぐに動いてくれましたよ」
そう言って彼は寂しく笑う。
笑える気分にはなれないんだろう。
私は、警察と繋がりがある。
時々占いでの客を警察に、こうして渡すことがあるし、警察に協力していた頃もあるからだ。
よかった、これで少しは早く捜査が始まる。
「それでは……さっきより少し長く、細かく占わせていただきす。話しかけないでください」
そう言って、彼の瞳を見つめた。