威鶴の瞳
ようやく自己紹介が一段落ついた。
そ・し・て。
なぜ奴は来ない?
「もう一人、俺のパートナーが来るはずなんですが。そいつはトーマと言います」
「あ、族上がりのバイト!」
そうまっ先に反応したマサルに、どんな覚え方だ、と、少し呆れる。
「何かあったのか?」
雷知が心配を含んだ声で聞く。
心配になるのもわかる。
連絡もなしに遅刻だ。
ただ付き合いが長い俺は、もう一切の心配はしない。
なぜなら。
「ただの遅刻魔ですから」
心配する理由がないからだ。
雷知の疑問にバッサリと答える。
こんな時まで遅刻か。
俺だけならまだしも、部外者が三人もいるんだぞ。
少しイラついていたところに、ガラリ、扉が開いた。
「わりぃ、ねーちゃんが――」
「遅い。お前下で正座してろ」
「そりゃないぜ威鶴ぅー」
ものすごく嫌そうな顔をして言うトーマ。
これで全員そろった。