威鶴の瞳
そうか、あの目の動きは追いたくない。
集中力が足りないのか、興味の対象が次々と移るのか、視線が一点を向かず、色々と見にくそうだ。
俺の目が追いつかないだろう。
決して苛めたいわけじゃない。
「雷知、もしよかったら雷知の過去──」
「あぁ、いいよ」
「なんでだよっ!?」
マサルが食いつく。
お前はおとなしく座っていなさい。
「マサルが煩いからじゃないか?」
雷知の言葉に、悔しそうにマサルが俺を見つめる。
コイツに過去を見るという脅し文句は使えないから、とりあえず無視することにした。
眼帯を外し、雷知を見る。
「ライチ」
そう呼べば簡単に、俺に向く視線。
──流れ込む、二人の過去。