威鶴の瞳
「少し占いみたいなもんさせてくれ」
「は?お前いきなり何──」
後ろに居たトーマが、「確かにコイツなら目合ってっかもな」なんて言うのと同時に、八坂に走り出す。
よし、今日は飛び道具の奴はいないな。
「何しに来た!」
そう言ってトーマの前に立ち塞がったのは、あの時の女・ユーキちゃん。
今日は他の三人……一人はどうなったか知らないが、この二人以外はいない。
トーマが、ヤッた奴は病院だろう。
八坂とユーキが対立している隙に、俺は素早く八坂の背後に回り込む。
「な、お前……」
両手にギリギリと指を食い込ませ、手を使えなくさせる。
「いで、痛い、テメー何すんだよ!」
「ツボに軽くツメを食い込ませている。痛いだろう?」
力がない、俺みたいな奴は、こういうのが向いている。
強く押せば身悶えるほどに痛みを感じる一点。
それに確実に、食い込ませる。