教組の花嫁
この事実に直面する時、百合葉の心はゆれに揺れていた。
(もう一度だけ試してみようか)
百合葉の脳裏に、ひとりの女の顔が浮かび上がった。
星野小波だった。
「君は和服が似合いそうだね」
百合葉は道心の言葉を思い出していた。
道心は和服が似合う女を好む。
(私がそうだったように)
百合葉は道心に長年接して、道心の好みを知り尽くしていた。
(小波なら道心の好みに、合うかもわからない)
女の勘だ。
百合葉は最後の賭けに、星野小波のカードを切ろうと思っていた。