教組の花嫁

 余りに喉が渇くので、小波が冷蔵庫を開けて牛乳を飲んでいると、

 「ビールを持って来てくれ」

 その時、叔父の声がした。


 「は~い」

 いやいや、小波がビール瓶を叔父の所まで運んで来た。

 「小波、一杯注いでくれ」

 急いで、小波はビール瓶を傾けた。
 叔父はビールを注ぐ小波の手を、握り締めた。

 「馬鹿、そんなに急いでビールを注ぐと、零れるじゃないか」

 叔父の言う通りビールの泡が、コップから溢れ出した。

 「ごめんなさい」


 叔父は握った手を離してくれなかった。



 「お前、良く見ると、女らしくなったな」
 「離して」



 叔父が、小波の手を引っ張り自分の懐に引き寄せた。






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