教組の花嫁
小波は自宅マンションに帰った。そして、最小限の私物を、海外旅行用の大きな旅行カバンと、小さ目の旅行カバンの二つに詰めた。
「いつ帰る事になるかわからない。このマンションは暫く借りたままでおいておこう。家賃や光熱費は自動振込みだから、問題ないし」
小波が先の事を考えて独り言を言った。
「季節が変わる時に、また衣類は取替えに来ればいい。これだけでいいか」
小波は住居を移る為の用意をテキパキとした。
部屋の中を点検すると、小波はタクシーを呼び、教団までタクシーを走らせた。
教団の敷地内にある住居棟の1階は、左半分が泰子の住居。右半分に、応接室5室と茶室がある。
百合葉は小波を連れて、道心の本妻 泰子の住まいを訪れていた。