教組の花嫁

 「千葉様です」


 小波が恥らいながら答えた。

 「そうなんだ。鬱になって実家に帰ったさよりちゃんの後釜ね。誰だって鬱になるよね。飼い殺しだもんね。私も鬱になりそう。だから、実家に帰ろうと考えていた所よ」

 「折角、お知り合いになれたのに、実家に帰られるのですか?」


 「ここにいてもねえ。ここだけの話だけど。私、教祖様は、もしかしたらホモじゃあないかと思うのよ」


 まゆが突飛な事を口にした。


 「ええ、教祖様がホモですか」


 小波は真面目な顔をしてホモと言う、立花まゆの言葉に驚いてしまった。


 「だって、さよりちゃん、私、カナの3人よ。私が言うのも何だけど、3人ともそこそこ美人じゃない。それが、教祖様は誰にも手をつけられない。ホモとしか考えられないでしょう」


 「そうでしょうか」


 小波は教祖がホモだとは、到底 信じられなかった。
 その後、二人はいろんな事を楽しく語り合った。


 「教祖様は、もしかしたらホモじゃあないかと思うのよ」


 小波にはその言葉が、いつまでも耳から離れなかった。






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