教組の花嫁
「復讐の為です」
言ってはいけない言葉を、小波は思わず口に出してしまった。
「何の復讐かね」
道心が目を開けた。
「私が9歳の時に、父は白血病で亡くなりました。その時、全財産を教団に寄付すれば治ると言われ、寄付したのに父は死んだのです。母も財産を教団に奪われ、後を追って首吊り自殺をしました」
「それは、本当の事かね。そんな事が実際にあったのかね。それが、本当の話なら・・・実に、残念だ。・・・君のご両親の名前は何と言うのかね」
道心が小波の横顔を見た。
「父は星野小造、母は紗代です」
小波が両親の名前を道心に伝えた。