教組の花嫁
純の引越しの日。
本妻の泰子は、純を連れて教祖室を訪れていた。
「今日は何かね」
道心が、不機嫌さを如実に顔に出した。
「純ちゃんを紹介しまひょと思いましてな」
泰子が鼻高々に道心に純を紹介した。
「・・・」
道心は無言のまま。
「純ちゃん、教祖様にご挨拶しいや」
「高沢純です。先日はお世話になりました」
「ああ、君か」
「なんや、あんたら知り合いかいな」
「そんな事より、今日は何の用かね。私は忙しいから手短に頼むよ」
執務デスクの椅子に座る道心が、迷惑げに答えた。
「前いた二人の子が、実家に帰りましてなあ。そやから、新しい子を連れて来ましたんや」
「そんな用かね。私はそんな者は必要ないから、さっさと帰りたまえ」
道心が泰子に帰るように促した。