教組の花嫁

 それから、4.5日して、とある興信所から、泰子に郵便が届いた。
 泰子は小波を潰す目的で、興信所に身辺調査を依頼していた。

 郵便物の中には、小波が学校を卒業してからの身辺調査に関するレポートと、一枚の写真が入っていた。

 その写真は7年前の写真で、小波が北のクラブに勤めていた頃に、クラブの同僚と撮った写真だった。

 調査のレポートには、星野小波が大阪の国立大学の文学部を卒業して、東京の出版社に勤め、現在に至るまでの経緯が書かれていた。

 小波は品行方正で、模範的な歩みをしていた。
 注目すべき点は一点だけだった。

 それは、大学在学時に小波が北のクラブでアルバイトをしていた事である。


 「水商売上がりか」


 レポートを見ながら泰子が呟いた。

 「これで攻めてこましたろか」

 泰子は意地の悪い笑みを浮かべて、写真を飽きるほど眺めていた。





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