教組の花嫁
9話 相似形の爪
10ヵ月後。
武庫川沿いにある武庫医大付属病院の産婦人科の病室で、小波は元気な男の子を出産した。
その子は、永心と名付けられた。
教団では、永心の誕生を祝って振舞い酒が出された。
「跡継ぎ様、万歳」
「永心様、万歳」
「命の泉 万歳」
「命の泉 万歳」
「跡継ぎ様、万歳」
「永心様、万歳」
信者たちは、振舞い酒を飲みながら跡継ぎの誕生を心から祝った。
その夜は、提灯行列が繰り出された。
『命の泉』西宮本部から、武庫川沿いにある武庫医大付属病院まで。
500名位の信者が、手に手に提灯を持ち、ゆっくりと歩いて1時間弱の距離を練り歩くのだ。
先頭に立つのは、教団最高幹部の千葉百合葉だった。