教組の花嫁
 
 ほのかは旅行バッグを駅のコインロッカーに預けると、駅前にあるホテルに入った。
 今日のほのかはベレー帽を被り、サングラスを掛けていた。


 ロビーに北河の顔が見えた。
 ほのかはそばに行くと、北河の耳元に小さく囁いた。


 「今日は時間が無いの。808号室に入っているから、後から来て」


 北河が頷いた。
 北河は遅れて808号室へ。


 「今から撮影でもあるのか」

 ほのかの耳元に北河が、小さな声で尋ねた。


 「まあ、そんな所ね」


 「時間が無いなら、電話しなければいいのに」
 北河が無愛想な顔をして。


 「時間が無いからいいのよ」
 「・・・」


 
 「今日はOKよ」



 ほのかが淫乱な目をして言った。


 「いいのか」


 北河がにんまりと微笑んだ。






 
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