教組の花嫁
「相談ちゅうのは何や」
泰子が、コーヒーを飲みながら話の口火を切った。
「跡継ぎ様の事で、お話したい事がありまして」
ほのかが、ストレートに永心の話題を持ち出した。
「跡継ぎがどうしたんや」
「実は、教祖様の子供じゃないのです」
ほのかが泰子の反応を意識しながら言った。
「えええええっ!道心の子と、違うちゅうのかいな」
泰子が、ほのかの予想以上の反応を示した。
(凄い驚きようだわ)
(この驚きようだと、味方にするのは、た易いかも知れない)
ほのかは、まず泰子の懐に入る事にした。
「ええ、そうなんです。それで、私、まず奥様にお知らせしようと思いまして」
「ど、道心の子やないんやら、いったい誰の子や」
泰子が永心の父親の名を尋ねた。