教組の花嫁

 「北河というカメラマンの子供です」

 ほのかがはっきりと答えた。


 「北河とかいうカメラマンと、どこであの女は乳繰りあったんや」
 「ホテル泉です。10ヶ月ほど前に、そのカメラマンが、東京から星野さんに会いに来たのです。二人は同じ出版社の元同僚なんです」


 「信じられへんな」


 泰子は、ほのかの言葉をとても鵜呑みには出来なかった。


 「それで、そのカメラマンの子やちゅう証拠は、あるのんかいな」
 「証拠は北河本人の証言です」


 「カメラマンは証言してくれるのんか」
 「それは、私が体を張って意のままに出来るようにしていますから、絶対に大丈夫です」


 ほのかは北河を証人にする事も考えて、あらかじめ彼と、深い関係になっていた。


 「何で、あんたが体を張らんといかんのや」
 「私が週刊誌で騒がれた時、その記事を書いたのは、星野さんだからです。受付の隣に座る奉仕仲間を、平気で売るあの女を、私は許す事が出来ません」


 ほのかが、北河と深い関係になった理由を熱く語った。





 
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