教組の花嫁
「なぜ、そこまで私を苦しめるのだ」
道心が顔を曇らせて言った。
「あなたも私の母親を苦しめましたわ。だから、母親は、教団を恨んで自殺をしたのです」
「やはり、君は私を恨んでいたのか」
道心が溜息を付いた。
「前に、なぜ愛人になったかと聞かれた時、はっきりと復讐だと、言ったではありませんか。お忘れになったのですか」
「わかった。君の気持ちは、今、本当に良くわかったよ」
道心は、いま始めて小波の恨みの深さを知った。
小波は、道心の困る顔を見て精一杯、悪い女を演じていた。