教組の花嫁
「そう努力するつもりだよ。元々、私が撒いた罪だからね。私が、この罪を刈り取らないとね」
(私が小波の母親を自殺に追いやった。教団設立時の私の過ちが、この過ちを生み出したのだ)
道心はこう考える事で、自分をどうにか納得させていた。
「私はたとえこの教団を捨てる事になっても、君と永心は守るつもりだからね。君もそのつもりでいてくれたまえ」
道心が、自分の本心を小波にはっきりと伝ええた。
「無理なさらなくてもいいのに」
「無理じゃない。君と永心が私の全てなのだ」
(道心は私と永心を心から愛している!)
小波にはその気持ちが、今痛いようにわかった。
「そろそろ永心が起きる頃ですわ。私は永心を見てきますので、これで失礼します」
「そうしてくれたまえ」
小波は子供部屋に戻った。
永心は、何も無かったかのようにすやすやと眠っている。
小波は永心の顔を見ながら、ある考えを実行に移す決意を固めていた。