教組の花嫁
 
 小波は、大きめの旅行カバンに衣類を詰めていた。
 来る時は、二つの旅行カバンだったが、家を出る時は、ひとつに纏めるつもりでいた。


 永心の衣類はリュックに詰めて、小波が背中に背負った。
 小波は手早く荷物を纏めると、ベビースリングを付け、永心を抱っこした。


 「じゃ、行こうか。永心、お利口さんにしていてね」

 
 小波が永心に話し掛けた。
 永心はにこにこと笑っている。


 「バア~。ママよ。バア~」


 永心はすこぶるいい顔をしてくれた。


 「いい子ね」



 「永心、行くわよ」



 小波は永心を寝かせ抱きにし、旅行カバンを押しながら足早に家を出た。






 
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