教組の花嫁
 
 「いらっしゃらないのですか?」

 百合葉が道心に尋ねた。


 「どこにも居ないのだよ」

 道心が、弱り果てたという表情をした。


 「じゃ、私もお探し致します。手分けして探しましょう」
 「永心様」


 百合葉が、大きな声を張り上げて二人を探し始めた。


 「永心様」


 「永心様」



 「永心様」




 道心も悲壮な声を上げて、二人の名を呼んだ。

 「小波~」
 「永心~」


 「小波~」
 「永心~」


 二人は教団のどこにも居なかった。


 「どこに行ったのだろう」
 「まさか、出て行ったのでは・・・」


 道心は一番恐れていた事が、起こったのではないか、と予感していた。
 道心の顔は、青ざめて血の気が消えていた。





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