教組の花嫁
 
 「ぅ、う、うっうう、うっうっ・・・」


 泰子は、廊下にうつ伏せになって倒れたまま泣きじゃくっていた。
 道心が教祖室から出て来た。手には、デジタルカメラを持っている。


 「千葉君。出刃包丁を、元の位置に戻してくれないか」
 「えっ、出刃包丁をですか」

 百合葉が道心の顔を見た。


 「後々の証拠に残しておきたいのだ」
 「わかりました」


 百合葉が泰子の手の少し先に、出刃包丁を置いた。
 道心がカメラを構えた。


 カシャ。
 カシャ。


 角度を変えて、道心が再び写真を撮った。


 カシャ。


 カシャ。


 道心が写真を撮り終えた。






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