教組の花嫁
「これでいいだろう」
道心が、しゃがんで泰子に話し掛けた。
「立ち上がれるか」
「あっ、はい」
泰子は思い切り泣いたせいか、さばさばした表情で立ち上がった。
道心がハンカチを泰子に渡した。
「・・・」
泰子が道心のハンカチで、涙の後を拭いた。そして、無言のまま、手の指で、髪の毛を直した。
道心が泰子の目を見て口を開いた。
「君を殺人未遂で訴えてもいいのだが、離婚を快く認めるなら、訴える事はしない。でも、後々騒ぐなら、証拠の写真を撮っているので、そのつもりで。勿論、君のこれからの生活を考えて、それ相当の慰謝料は渡すつもりだ」
「わ・か・り・・」
「ました」
泰子は反論する力も無いのか、うな垂れて道心の要求に応じた。