教組の花嫁
その日の内に、小波と永心は家に戻った。
道心が、小波を誘って1階の空き部屋に連れて行った。
家具も、人気も無いがらーんとした空間が、二人を迎え入れた。
内装が一新されていて、中だけは、まるで新居のようだ。
「流し台は、小波の好きな物に替えれば良いからね。家具も君のセンスで選べばいい」
道心が上機嫌で言った。
「ありがとうございます」
小波が道心に礼を述べた。
(今日から、ここが私の城か。私が、この私が主人なのだ。この家も、この教団も、ここの総ても・・・)
小波は内奥から喜びが、ふつふつと込み上げて来るのを心地良く感じていた。