教組の花嫁
「皇室や身分の高い武家は、乳母が子供をその家にふさわしく育てたと申します。そして、その子供は、幼い時から天皇学を学ばせる事により、人の上に立つ一角の人物となったのです。教祖も同じ。幼い時から教祖になる為の教育が必要かと思います」
百合葉が、道心の顔色を窺いながら乳母の必要性を説いた。
「教祖学か」
道心が考え込むような態度で。
「歌舞伎の役者でさえ、物心付いた時から、歌舞伎のいろはを徹底的に教え込みます。まして、教祖が誰にも勤まる訳が無いかと。人格、知識、礼儀・・・。教団の上に立つ人物となって始めて、人が教祖として崇めるのです」
百合葉が、自分の話しに出来るだけ説得力を持たせて道心に話した。
「そこまで考えなかったが、確かに、千葉君の言う通りだ。乳母は必要かも知れない。必用としたら、いつから乳母を付けるかが、問題だ」
「昔、乳母は乳離れする頃から付けた、と言われていますから、その頃かと」
「と、言う事は、今位からか」
道心が、乳母を付ける時期を探った。