教組の花嫁
父の葬式が終わった後も、母は元気が無かった。
「あんた」
「あんたあ・・・」
時折、父を小さく呼んでは、母はしくしくと泣いていた。
「何でよりにもよって白血病なんかに」
「全財産をあんな宗教に奪われて・・・」
「言う通りに寄付したのに死んでしもたやないか」
「畜生!あんな宗教の言い成りになるから、こんな事になるのや」
それからも、母は独り言をぶつぶつと呟いて、深く沈み込んでいた。
「騙されたんや。あんたはあほや。大あほや」
母は宗教を恨んだ。
「うちと小波は、どないして生きて行ったらええんや」
「インチキ教団が憎い!」
「許せへん。許せへんから」
「恨んだる。絶対に恨んでやる」
母の独り言は激しさを増して行った。