教組の花嫁

 それは、トイレでの事。


 小波は鏡の前で化粧を直していた。そこへ、以前案内で一緒に自発奉仕をした事がある高沢純が現れた。


 「久し振りやね。今何をやってるん」
 「ああ高沢さん、お久し振り。今は受付よ」

 「花の受付か。ええなあ」
 「高沢さんは?」

 「相変わらず案内やん。今はこの奉仕から抜け出すために必死で頑張ってるとこや」

 「何をしてるの」

 「道場通いや。今にみんなをあっと言わせたるからな」
 「道場通い?」




 「そや。ええ事教えたろか。教祖さまは瞑想中の信者を、テレビでご覧になってはるちゅう噂や」




 「へえ、教祖様が・・・.そう言えば、道場には、監視カメラが付いていたわね」

 「これ内緒やで。誰にも言わんとってな。ほな、またな」

 「じゃあね」


 この情報を耳にして以来、小波は道場に通い始めた。







 
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