教組の花嫁
 
 デジタルカメラを化粧ポーチにしまうと、小波は何も無かったような顔をして、自分の席に戻った。

 受付の奉仕が終わった。



 夕食を済ませると、小波は久し振りに教祖室横の瞑想室で、一人静かに瞑想してみようと思った。


 エレベータを降り、小波が教祖室を通り過ぎようとすると、教祖室のドアが開いた。

 中から出て来たのは、嶋中ほのかだった。


 「あら、星野さん、どうしてこんな所に」


 ほのかが不審に思い小波に尋ねた。


 「隣の部屋で瞑想をしようと思って」


 「ええ!! 隣の部屋は教祖様専用の瞑想室よ。あなた知らないの」




 「教祖様にはお許しを貰っています」

 

 小波が毅然と言った。


 「ええ!信じられない」


 ほのかが信じられない、と言う顔をした。





 
< 45 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop