教組の花嫁
デジタルカメラを化粧ポーチにしまうと、小波は何も無かったような顔をして、自分の席に戻った。
受付の奉仕が終わった。
夕食を済ませると、小波は久し振りに教祖室横の瞑想室で、一人静かに瞑想してみようと思った。
エレベータを降り、小波が教祖室を通り過ぎようとすると、教祖室のドアが開いた。
中から出て来たのは、嶋中ほのかだった。
「あら、星野さん、どうしてこんな所に」
ほのかが不審に思い小波に尋ねた。
「隣の部屋で瞑想をしようと思って」
「ええ!! 隣の部屋は教祖様専用の瞑想室よ。あなた知らないの」
「教祖様にはお許しを貰っています」
小波が毅然と言った。
「ええ!信じられない」
ほのかが信じられない、と言う顔をした。