教組の花嫁
「お疑いなら教祖様に、直にお聞きになったら。私は構いません事よ」
小波が自信たっぷりに言った。
「本当なの」
まだ、ほのかは信じられない。
「ええ、本当よ。じゃ、私は瞑想をしますので、これで失礼します」
「信じられない」
ほのかは呆然と小波を見送っていた。
胸の内にふつふつと煮えたぎるものが込み上げてくるのを、ほのかは忌々しく感じていた。
こんな敗北感を感じたのは、32年の歴史を通して初めてである。
ほのかは、この教団の広告塔として5年程前から働いている。
教団の人集めには、多大な貢献をしてきたと、ほのかは自負していた。
今日のように毎年、教祖様にはご挨拶に来て、教祖様とは特別な親交を深めさせて頂いている。
自分は特別。
ほのかは常々そう考えていた。