独りじゃないよ
しゃがみこんだまま俯いていると、頭に重みを感じた。


温かい。



「ごめん、遅くなった。 気分悪い?」



顔を上げると申し訳なさそうに微笑む彼の顔が、直ぐ傍にあった。



「ううん、大丈夫。 ちょっと眠たくなっただけ」



嘘。


眠たくなんかない。


まだ気持ち悪さが治まらない。


でも、彼に心配をかけたくなかった。



「あー……だよな。 もう三時過ぎてるし、帰るか」

「うん」



時計から目を離した彼は、私の手を取り歩き始めた。


気付けばそばには青木君と山田君もいた。



「お前らもさっさと帰れよー!!」



青木君が不良たちに大きな声で話しかけると、不良たちは笑顔で手をふってきた。


この短時間でどんだけ仲良くなったの?


凄過ぎ。



「あの人たち何してたの?」

「暇だから肝試しするんだと」



肝試しね……。


そんなの絶対無理。


私たちは帰る為、バイクで再び来た道を通った。


帰りは最悪な事に豪雨になり、土砂降りの中帰った。






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