独りじゃないよ
綺麗な女の子を見て二週間が過ぎた。



「匠(たくみ)、あんた身体大丈夫?」



彼の家で、彼と彼のママと夜三人でテレビを見ていたら、いきなり彼ママがそんな事を口にした。


私も彼も思わずポカンとしてしまう。


最近怪我もしてないし、体調崩してもないし……いきなりどうしたんだろう?



「三日前あんたを駅迄送った時に見ちゃったのよね」

「……何を?」

「あんたの隣にピッタリくっついて立ってる女の子」



霊感の強い彼ママはたまにこんな事を言い出す。


もしやそれって……いやいやいや!!


そんなはずない。



「あの……どんな女の子でした?」

「浴衣を着てて、髪は肩したくらい迄伸びてたわね。 白っぽくて少しボヤッとして見えたかしら。 でも嫌な感じはしなかったから、大丈夫だとは思うんだけど」



サーっと血の気が引いて行く。


まさかの同一人物……。



「別に何も変わったことはねぇけど……」

「あっそ、ならいいのよ。 聞かなかった事にしてちょうだい」



ごめんよ……私が連れてきちゃったみたい。


彼が変わった事はないって言ってるわけだし、気にしないでおこう。


……その後も彼には特に不幸等はありませんでした。





< 30 / 43 >

この作品をシェア

pagetop