独りじゃないよ
三日目の夜……。


前日の事もあり、寝るのは怖かったけど、疲れていたのか割とすんなり眠りについた。


気持ちよく眠れてたのに、騒がしい音で目が覚めた。


人が寝てるっていうのにうっさいな!!


弟が漫画か何かを取りにきたんだと思い、苛立ち全開で目を開けた。


開けた瞬間後悔する羽目になる。


部屋に居たのは弟ではなくて、知らない男性だった。


ただの人じゃないということは経験で分かる。


そんな経験したくもなかったけど。


帽子を被った年齢不詳な男は私の部屋の中を、迷惑にもドタドタと走り回っている。


体つきからして高校生くらいかな?


暗いからよく分からない。


まぁそのうち大人しくなるだろう。


時計をみるとやっぱり夜中の二時を過ぎたところだった。


どうする事もできないので、私は目を瞑り寝る事にした。


寝る事にしたのはいいが、眠れない。


眠れるわけもない。


マジ煩い!!


声が出せないかわりに、何度心の中で怒鳴ったか分からない。


どのくらいの時間目を瞑っているのかも分からない。


自分的には、あれから凄く時間が経っているように感じる。


いい加減どっかいってよね!!


何度目か分からない怒りを胸の内で叫ぶと、ピタッと音が鳴り止んだ。


おっ、気が済んだのかな?


これでゆっくり眠れ……っ!



「殺してやる」



耳元で囁かれた声は低く、どこか楽しそうだった。


ハッとなり体を起こすと、もう部屋の中には誰もいなかった。


時計の針は夜中の四時を過ぎたところだった。





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