独りじゃないよ
五日目の夜……。


今日こそは大丈夫!!


何故なら今日は心強い味方がいるから。


金縛りで寝不足だという事をお婆ちゃんに相談したら、お婆ちゃんが数珠を貸してくれた。


怖い気持ちもあったけど、ちょっと安心した気持ちもある中、私は眠りについた。


真っ暗な中眠りについてどのくらい経っただろうか。


その日も私は目が覚めた。


でも首は動くし足も体も動く。


金縛りではない事にホッとした。


気にし過ぎて起きちゃったのかもしれない。


でも時計を見ると二時を過ぎたところで、ほんの少し不吉な予感に襲われた。


気にせずまた寝ようと寝返りを打とうとした時、体の違和感に気がついた。


数珠を掴んでいる右手が動かない。


感触もある。


この部屋には私だけの筈。


見なければいいのだが、確認せずにはいられなかった。


っっ!?


首を捻り右手を見ると、知らない手が私の右手をがっちりと握っている。


動かそうにも動かない。


その手は肘から下だけで、体はなかった。


恐怖で息が荒くなり、その腕と格闘している内に、疲れ果て眠ってしまった。


朝目を覚ますと、体は軽く、全身自由になっていた。


だが安心しているのも束の間、数珠を握っている右手を見て、私は息を呑んだ。


親指と人差し指の間に、クッキリと指の痕が残っていたから……。


それから数日、私は部屋の電気を消して眠る事が出来ませんでした。





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