僕らの終わりと始まり

誰も来ない日が続いてた。

って言うよりも今では誰かが来る事のほうが珍しいんだけどね。

だからスゴい静かなんだ。

また昔を思い出していた。






空気が乾いてきて空から雪が降り始めた頃だったかな?

静まりかえっていた朝。

少しずつ右側の空がほのかに薄く青く色付いてくるんだ。その景色はとてもキレイなんだよ。

やがて朝日が顔を出し、光が射し始める。

朝早くから子供達が外に出て真っ白のじゅうたんに小さな足跡をつけてまわってた。
そして自分よりも大きな大きな雪だるまを自慢気に作っていたっけ。

近所の子供達も集まってきてからの雪合戦!

大人達も外に出てからみんなで大きな雪の鎌倉を作ってた。

風の音と、ギシギシっと雪を踏む音を奏でながら。

やがてポカポカと暖かくなって僕の真上にお日様が昇った。

遊び疲れた大人達は家にて休憩中。






どのくらい時間が過ぎただろう?

だんだん暗くなり始め、左側の空がオレンジ色に色付いてきた頃、家ではお母さん手作りのシチューができあがっていていた。

みんな飛んで帰ってからの夕食。


にぎやかな笑い声が家からもれていた。



やがて、家の灯りが消えていき、また静寂が訪れた。








おじいさんとおばあさんは足を痛めたらしく、僕に

「当分、会いに来れそうにないんだ。」

「すまんな。」

って言ってた。


気にしなくてイイよ!それより早くよくなってね!

僕は大丈夫だから!
一人でいるの、慣れっこだからね!



それでもおじいさんとおばあさんはたまに会いに来てくれたんだ!

僕はすごくうれしかったんだ!









そうだなぁぁ。

にぎやかだったなぁ。





みんなと会うのもこれが最後かも知れないんだよね。





誰もいなくなった今も僕は仕事中。

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