地味なあの子は鬼狩り少女3 〜深紅の瞳〜



私に向かって手を振り上げていた芽有は、そのしわがれた声を聞いた瞬間に顔を綻ばせ


「おじいちゃんっ!!」


すぐさま身を翻すと、私の前からどいた。

その動きにつられるように、私も顔を上げて――…


「お帰り、芽有。

そして――いらっしゃい、神無」


見えたのは、和服を着て背筋を伸ばした初老の男性。

芽有が、あんなに嬉しそうに懐いているって事は……


「はじめまして、じゃな。

わしの名は……鬼頭源治郎(キトウ ゲンジロウ)。

お前の母の父であり、芽有の育ての親でもあるのぉ」


……やっぱり。

『忌み子』だった芽有を、父さんと母さんの代わりに育ててくれた人だ。



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