地味なあの子は鬼狩り少女3 〜深紅の瞳〜




【龍真Side】



「………ん?」



ふと、線香の香りが鼻先を掠めたような気がして――俺はその場に立ち止まった。



『葬式から帰ってきたから…匂いがついたんだろうか』



考えながら自分の着ていた学ランを鼻の側に寄せるけれど、もう線香の匂いはしない。


俺は首を傾げながら、手に提げていた鞄を持ち直すと再び歩き始めた。




< 478 / 514 >

この作品をシェア

pagetop