“隣の不可思議くん”
「以前に、皐月さんと別れてからそれきりとおっしゃってましたね・・・祖母がいっていました・・名家の息子さんと夫婦(めおと)にならなければ・・澄羅さんの命を奪うと言われたそうです・・澄羅さんを守りたかった・・父・母を守ってあげたかった・・だから澄羅さんとお別れをしたそうです・・。」
手紙を広げて真っ直ぐこちらを見つめてくる。
拝啓澄羅様
あなた様は今どんなお気持ちでしょうか?私はとても心苦しく心にぽっかりと穴があいてしまったかのようです。突然の、お別れ申し訳ございません。こうする他なかったのです。あなた様をお守りするには西園寺の家に嫁ぐほかありませんでした。このように文に思いをしたためても、澄羅様に文はだせませんがいつか。いつかあなた様に伝わりますようここに書き記しておきたいと思います。澄羅様のお隣で添い遂げることは叶いませんでしたが、西園寺に嫁いだ今も、あなた様をお慕い申しています。
ゆっくりと手紙を閉じて封筒へとしまった。