“隣の不可思議くん”

しばらくして図書室といえば図書委員だと思い先ほどみかけた委員を探してみるも、なんとタイミングの悪いことについさっきまでいたであろう図書委員も見当たらなかった。これでは本がとれないではないかと、本棚を再度見やればどの本棚でもそうだが段になっていることに気づいた。足をかけて登ればいいのだ。これは名案といわんばかりにさっそく本棚に足をかけ本へと手を伸ばす。



「あと少しです~っ・・んーっ!」



あと数センチというところで、彼女の後ろから手が伸びてきた。無常にも頑張り虚しく後から伸びてきた手にお目当ての本は攫われてしまったのだ。なんだか悔しくて本を攫っていった人物を振り返ってみればそこにたって彼女へと本を差し出していたのは、先ほどまで話題となっていた”不可思議くん”であった。



「あれ、これじゃなかった・・?」



意外な人物を目の前にぽかんとしていていっこうに本を受け取ろうとしない彼女を見て彼は、つい先ほど手にした本を本棚へと戻そうとした。そんな彼の様子を目にして我に返った彼女はとっさに彼の腕を掴んでいた。








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