“隣の不可思議くん”



「何回来ても、ここって慣れないなぁー。」


「静かにしていてくれ。」



甲斐兄さんが言うように俺もこの家は慣れない。敷居を跨いで門をくぐるだけで吐き気がする。重々しい空気が異様に漂っていた。



ガラガラーーーー



「すみません。ご当主に呼ばれてきたのですが・・・。」


「よく、お越しになりました。大樹さま、甲斐さま、馨さま。珠希さんお待ちです。」




そういってお世話係の長瀬(ながせ)さんにいつもの部屋に通された。部屋の中に入ると凄く気だるそうに庭を眺めている少女。



「珠希さん、皆さんいらっしゃいましたよ。」



長瀬さんの声にこちらを振り向く少女。


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