“隣の不可思議くん”
立ち上がりこちらに寄ってきては兄さん達から順番にハグをしていった。
「大樹、甲斐・・・遅いよ待ちくたびれた。」
「すまない、連絡もらってすぐ出たのだが・・。」
「ごめんねぇ、珠希ちゃん?」
機嫌を損ねないように慎重に言葉を選んでいる様が見ていて手に取るように解かる。何もされてはいないのに、彼女からのプレッシャーに押しつぶされそうになることはしょっちゅうある。ひとしきり兄たちと会話をした後、最後に俺の番であった。
「馨・・。逢いたかったよ・・?なんだか、凄く長い間逢っていないような気がしたよ?」
「そうかな・・・先週もあったよ珠希。」
宥めるように相手の頭を撫でてやる。そうだっけ?そんなことを言いながら目を細めて気持ちよさそうに撫でられている様子は普通の高校生であった。