“隣の不可思議くん”


一生逃れられないとしたら、いつか西園寺さんの手は離さなくてはならない。そう思うと今までに感じたことのないような悲しい気持ちになった。



「あなた達には、私がずーっと傍にいてあげるから。」



心配しないで?そんなことを言っている彼女に逆らうことのできない自分自身も情けないと思った。


三時間ほどして、珠希も飽きたのか今日は帰っていい。と言われた。一刻も早くここから出たくて何か言っている彼女の言葉なんて一切耳に入ってこなかった。



来たときと同じように、神大寺の敷居を跨いで門の外に出た瞬間緊張の糸が途切れて酷い吐き気に襲われた。


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