その手に触れられたくて
「お待たせ」
本当にすぐ戻って来た彼の手にはいつものようにドライヤー。
「はい、ちゃんと座って」
「ん~…」
「ふっ…。はい、はい」
一回、寝転がってしまうと、起き上がるのって中々、大変で、抱っこをねだる子供のように両手を広げると、呆れたように笑いながらも、結局抱き起こしてくれる。
彼の前だと何処までもワガママになれちゃうから不思議。
「熱かったら言ってね」
「ん」
ソファーの後ろに周った彼の指が私の髪に触れる。
こんな風に髪を乾かして貰うのが毎日の日課で、私が1番好きな時間。
「で、今日さ~…」
「うん…」
乾かして貰いながら、彼が他愛ない事を話してくれるけど、髪に触れる手が、指が気持ち良すぎて、うつらうつらしながら、段々、返事も曖昧になって来る。