*曖昧模糊*
でも、やっぱりね、
こんなときでも葵くんが好きだって
思い知ってしまうもん
足は無意識のうちに葵くんの消えた部屋へ
向かってしまうんだもん
「・・・・・・・・・」
うっすらとした暗闇に、
ぼんやりとしたシルエット
初めて入った
葵くんの部屋のベッドルーム
この部屋に、たくさんの女の子が来た
あたしはここで行為をする葵くんの
声をずっと聞いてきたんだもん
「・・・・・・・・・・・・こっちに来いよ」
ドアのところから動けなくなってしまった
ベッドまではあと5メートルもないはずなのに
こんなにも遠くに感じる