*曖昧模糊*







そんな会話も虚しく、目の前には

見慣れたドアが二枚






「・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・」





黙っているのも、あれだ

これ以上葵くんと一緒にいる意味も

今のあたしにはない





「・・・・・・・・・・じゃ、あね」





葵くんの目を見て言うつもりが

あたしの独り言のように消えた




隣の部屋まで5メートル

あたしの足音が響く






「・・・・・・・あぁ」




後ろで葵くんの声が聞こえたけど

「じゃあね」に対しての答え?




なんとなく恥ずかしくて振り向けない

その代わりに、カバンに手を突っ込んで

部屋の鍵を探す


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