あなた
-あなた。-
「っあ~。
お腹すいた~!さくらー、学食いこー。」
「あ、今日パス!」
「えぇ!?なんで?
今日、日替わりさくらの好きなそばだよ?」
「っ!・・・それでもパス!
ごめん、今度埋め合わせするね!」
4時限目が終わり、学生の一番の楽しみ、昼休みがやってくる。
いつもなら、親友で、茶髪の夏希と食堂でご飯を食べるんだけど・・・。
私は、それどころではない。
要 さくら。
篠原高校2年になって3カ月。
春休みに染め直した赤がかった茶髪は、プリンになってきてる。
顔も、頭も、スバ抜けていい方じゃない。
夢もない、将来も決めてない。
そんな、平凡な女子高生。
「やっばい~!」
なぜこんなに急いでいるのかというと・・・。
5時限目に使う体操着を忘れたからである。
体育の先生は怖くて、一回でも忘れたりしたら怒鳴られるから、
今急いで家まで取りに帰っている。
―――――出逢いは、この日。
出逢ってなければ、私は今まで通り平凡に過ごしてた。